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「貴女はもう、こんなにも傷ついているもの。
……頑張ってね」
凛の手を、エレナの小さな手が包んだ。
そのまま、ぎゅっと握った。
「凛…、さん……。私、絶対に王国を護ってみせる。
この命を捧げても、必ず。私の契約と存在が忘れ去られてしまっても、後悔しないように」
「いいえ、貴女の存在を知っているヒトが、全て死んでいってしまったとしても、私だけは覚えてる
。永遠に近い時間の中で、私だけは覚えてるわ。
だから、思いっきりやってきなさい。自分の心が決めたままにね。
全ての鍵は、本人の手の中に在る」
「はい……」
エレナは静かに瞳を閉じた。
涙はまだ、静かに頬を伝っていた。
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