序章

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「シーナのこと、よろしくね。 何も知らない彼女には、きっと一番辛い思いをさせるわ」 哀しみを滲ませながら、無理矢理の笑顔でそう言った。 しかし、アンヌは見抜いてしまった。 彼女の笑顔の裏に、影を落とす哀しみを。 「……いいえ、違うわ」 「え……?」 「違う。一番辛いのは、貴女よ。 エレナの強さと辛さに比べたら、私たちなんてちっぽけなもの。それでも、行くのね」 「……ええ、それでも。 行かなきゃ、私は自分の命と引き換えにこの国を救う為、そして戦う為に契約をしたのだから」 「止めはしないわ。エレナが選んだ、道だもの。 だけど、その“選んだ道”を歩む貴女の背中を、見守ることくらいはさせて頂戴。 お願いよ、そしたら私は、貴女よりもずっと小さい強さだけど────、それでも、頑張っていける気がする。そんな気がするの。 だから────……」 .
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