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一人の少女が立っているのは、ある墓石の前だった。
風が吹く度に揺れる、軽くウェーブのかかったオレンジ色の髪の毛が、灰色の墓石と木々の緑しかないその辺りの景色を彩るように、雲の隙間から覗く太陽の光で淡く輝く。
歳は、十六歳ほど。
揺れる髪に隠れた少女の顔が、風が止んであらわになる。
額に巻かれた包帯と、右頬全体を覆い隠すように貼られたガーゼ。
双方とも色は清らかな程の白。
それは、痛々しい傷を隠すものであり、少女の身に起きた悲劇を象徴するものでもある。
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