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かなりショックを受けた僕を見ながら親友は可笑しげに笑う。
「もしおれが桐斗の事を忘れてたら……」
何かを言いかけた親友は一度口を閉じて僕の肩をポンと軽く叩く。
「その時は桐斗が成長し過ぎてて分からないんだよ」
僕はその光景を想像して目を輝かせた。
そうだと良いな。
いつも親友の弟に間違われていた日々が終わり、今度は親友の兄に間違われる日々が始まる。
年上だけど何の役にも立たない僕をずっと穏やかに見つめてくれていて、たまに手を差し伸べてくれた親友。
「じゃあ、僕……歌を歌う仕事について戻って来るよ」
僕の言葉に親友は疑う事無く、こくりと頷いて笑った。
「おれは待ってはないと思うけど、桐斗になら出来ると思うから、頑張ってね」
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