蝶々はなく

2/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
あぁ 蝶々が鳴く 蝶々が泣く 蝶々が啼く キレヒなものがお天道の空中を闊歩しとるが 蝶々は汪さまの源の前にて迂路迂路しとる キレヒなものは我物顔でキラキラしとるが 蝶々は汪さまに見つかってちり紙にツツマれるのである キレヒなものは薔薇にされ同情をもらい 蝶々は優しいお手手に耐えがたい屈辱をいただく あぁ 蝶々は鳴く 「お前が居らんかったら我らは仕合わせであったのではなかろうか 仕合わせに違いは無い やつらは我らに似る ちょいとだけ着物の柄が違うだけであるのに 汪さまは見る目無いのだ あれをちょいと剥いだら やつらは仕合わせにはなれないのである そうだちょいといたずらしてやろうか」 蝶々は泣く 「そんなことをしたところで 我らは仕合わせになれない やつらの着物を剥いだところで やつらは我らよりキレヒなものなのである 似たよふなものではあるが 感じなところはやつらが上なのである」 蝶々は啼く 「負けを認めざるおえん 周知の事実である 認めた我らは餓鬼となりさがり ひたすら誤寝続けるのだらう あぁ嫌だ あぁ嫌だ 我らは餓鬼となって生き残らなければいけない 本能のおもむくままに 理性など関係なく」 あぁ 蝶々は鳴く 蝶々は泣く 蝶々は啼く 汪さまが蝶々を仕合わせにした時 キレヒなものは 糸に絡まった
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!