好きの音(赤青)

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差し迫った用のない休日、鍛錬を終えた一同は街にくり出した。 服を見に行きたいという茉子とことはに賛同した千明、そんな彼に引きづられるようにして連れ出された流ノ介。 「丈瑠も行かない?」 そう聞いた茉子に「行かない」と即答した丈瑠もしかしことはの 「え…殿様一緒に来てくれへんのん?」 には勝てなかった。結局五人揃っての外出となる。 「あ、茉子ちゃん、あれ可愛い!」 「ことはに似合いそうね」 荷物を持たされた千明は早々に自分の服も買ってしまっていて、そうなるとあとは退屈な荷物持ちだ。 疲れた面もちで唸るが女性陣にはまったく聞こえていない。 「あ~…なんで女の買い物ってこう長いんだろ?」 「本当にな」 隣で頷いた丈瑠も両腕に二袋ずつ提げている。 茉子に辟易して荷物持ちに甘んじたのだが流石に疲れたような溜息を吐いた。 「つーか」 紙袋の他、靴などが入った箱を顎まで重ねた千明がくるりと振り返る。 「流ノ介、なんか」 元気ねーし、と言おうとした口から言葉が続くことはなかった。 丈瑠のショドウフォンが電子音を響かせ、通話に切り替えた瞬間彦馬の低い声が五人の間を走った。 『アヤカシが出ました!』 「っ行くぞ!」 「おう!」 伝えられた地区に行こうと丈瑠は足を向けた。茉子、ことはと続き、次に駆け出した千明は慌てて首を巡らせる。 「流ノ介!?」 「…あ、ああッ!」 ぼうっと立っていた流ノ介が我に返って走り出す。 あっという間に抜かされた千明は走りながら首を傾げた。 「やっぱ、元気ねーだろ。あいつ」  
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