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御主人様はまだ喋ろうとしてる、ヒューヒューと息をする音が聞こえる。
目頭が、熱くなる。
「ゼェ…ファイ顔を…」
僕は言われたとおり前髪を分けて顔が見えるようにした。
笑顔を見せたかったけど、僕の涙は止まらなかった。
「…ファ、イの…ゴホッ名前は…瞳が…サ、ファイアみゴホッゴホッ」
「ありがッとう…ラルありがとう」
もう喋れないのかもしれない、御主人様の呼吸は少しずつ弱くなっていく。
僕は御主人様の血まみれの手を握りしめた。
そして、呼吸は止まった。
…僕は弱くて、小さくて、非力な鼠。
でも…。
御主人様と一緒に…。
キッチンから包丁を持ってきた、左手で御主人様の手を握り右手で包丁を持つ。
あぁ…僕は…少しは役に…たてた…カナ?
ザクッ
4.END
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