裏切りという名の再会 プロローグ

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夏の虫より秋の虫はいい。同じように鳴いているのだが暑さがないせいか、ちっとも嫌な気がしない。街も夏のガヤガヤとした五月蝿い感じから少し落ちついて、時間がゆっくり流れている。 今年も今日が来た。 今年こそココには来ないつもりだったのに。 やはりアイツの好きだったコーラを手にココに来てしまった。 三年経った今も、このビルの管理は いい加減なようで、相変わらず簡単に屋上に出られてしまった。 もし鍵がかかっていて、ビルの中にも屋上にも入れないのなら、今年こそ早々と帰れたのに。 またココに来てしまった。 三年前の今日にアイツを失くした、この屋上に。 俺は今もまだ、あの日のまま。 少しも歩く事ができない。それなのに一丁前に歳だけは重ねてしまっている。 アイツは18のまま。 ずっと笑顔のまま。 「なぁ純也・・・」 「もう一度お前に会いたいよ」
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