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時は紀元前500年前後。
この時代のエーゲ海周辺の地域。
それは、煌めく海と鮮やかな山々、そして、堅牢な城壁たちが存在し、争いが絶えない地だった。
そのエーゲ海の西側に、アルカディアという一つの国があった。
雷神の宿る地と言われ、その王宮に住む王族は雷神の血を引いていると言われている。
この時代の王族は絶対的な権力を持っており、王の力が強い時だからこそ、そこにある王宮は最も壮大で、豪華な作りをしている。
だれに作らせたのか考えたくもなくなるような巨大な建造物。
豪の極みとも言える、この時代の頂点しか入れないような王宮。
そこで、一人の凛々しい声が響き渡る。
「レオン様ー! レオンティウス様ー! どこですかー!」
その声を発したのは、顔だちの整った青年。だが、今は疲れからか、額に汗を流している。
王宮に似つかわしくない足音を立てながら走り回る。
すると青年の前に広がる長い廊下の脇についているドアが一つ開き、中から一人の青年が現れた。
歳は20程であろうか。
こちらも美青年だ。
「騒がしいぞゾスマ。何事だ」
するとゾスマと呼ばれた青年は、安堵の表情を浮かべ、息を整えるために立ち止まった。
「はぁ、はぁ、レオン様……。どこかへ行く時は従者の方に一言残して下さらないと、困ります」
するとレオンと呼ばれた青年はゾスマへと歩み寄る。歩く姿からは気品と凛々しさが感じられる。
「あぁ、すまなかった。次からは気をつける。それで何だ、急用か?」
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