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「それはそうとレオン様」
一通り言いたいことが終わったゾスマは、ふと思ったことをレオンに聞く。
「先日から頻繁に自室からいなくなりますね。毎回こんな宮廷の端っこにいたんですか? あそこの部屋は今は空き部屋のはずですけど……なにをしているんですか?」
先程レオンがでてきた部屋、今は扉が半開きになっている。
「あっ、いや、別に、たいしたことはない。些事だ、些事」
そう言ったレオンの目は宙を泳いでいる。ゾスマがそれを見逃すはずがない。
「……レオン様。あそこで何をしているのですか。些事なのでしたら私が中に入っても構いませんね」
そう言うとゾスマはレオンの横を通り抜けて部屋に向かおうとするが、レオンがゾスマを捕まえてそれを阻止する。
「ちょ、ちょっと待てゾスマ! あっ、そうだ、お前、父上が呼んでいたぞ? なんでもアルカディアの未来に関わる大事な用事らしい」
「私はここに来る前にデメトリウス様とお話をしていたんです。すぐにばれる嘘はやめて下さい」
ゾスマがレオンを振りほどこうとするが、レオンも必死で止めているため先には進めない。
「ま、待てゾスマ。ホントにその部屋を見せるわけにはいかない! 今回は見逃せよマジで!」
「どうせ外に繋がる隠し通路でも作ってたんでしょ! 許しませんよそんな物は!」
そしてついにゾスマはレオンの腕を振りほどいた。そしてそのまま扉の前まで走りだす。
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