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僕が訊くと大助さんは楽しそうに答えた。
「『全く星の事を知らない男の子と一緒に毎日外で空を見上げてる』って、言っていたよ。とても楽しそうにね。しかし、一度深夜に帰って来た時、体調を崩してしまってね。次の日『丘に行く』って家を出ようとするのを必死に止めたんだよ」
深夜に帰って来た日。それはきっと僕がコトに告白した日だ。
僕は罪悪感にかられた。
そんな様子を読み取ったのか、大助さんが言った。
「別に君を責めている訳じゃないんだ。娘はよほど君の事を好いていたらしい。高熱が出て苦しんでいるはずなのに笑うんだよ。『私、心に決めた人が出来た』って」
涙が出そうになるのを堪える。そこまで僕を想ってくれていた事が嬉しかった。
「お願いします大助さん。娘さんに……コトに会わせてください」
「……分かった。これからは家を自由に出入り出来るようにしておこう。娘の力になってやってくれ」
僕は、「はい」と力強く頷いて、コトの部屋へと向かった。
コトの部屋の前。僕は深呼吸してからノックをする。
「はい。なんでしょう?」
扉の向こうからコトの声がした。
「コト。僕だよ。入っていいかな?」
「亮? 会いに来てくれたの? 入って」
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