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夏休みが明け、さすがにおかしいと思った僕は彼女のクラスに行ってみた。
「平野さん? 来てないよ。元々病弱だからね。今まで始業式と終業式くらいしか学校に来てないし」
コトが病弱? そんな話は一度も聞いた事がなかった。丘にも毎日のように来てくれていたじゃないか。その時だってずっと元気で……
僕はハッとした。あの日彼女が言った言葉は、「星になりたい」ってのは……
気づいたら学校を早退して彼女の家へ向かっていた。
いつも丘に行くルートを、彼女に会う事を楽しみに歩くルートを今日は走っている。
そんな事したって彼女が救えるわけではないが、一刻も早く彼女の顔が見たかった。
家の前に辿り着くと、チャイムを鳴らした。
『どちら様でしょうか?』
門の所に取り付けられた機械から若い女性の声がした。
「えっと僕、コト……平野さんの友人の神崎っていいます。平野さんは御在宅でしょうか?」
『ちょっと待ってください』という声の後に、門が開く。
中から出てきたのは、20代前半くらいの使用人の女性だった。
「大変申し訳ありません。お嬢様は今、体調を崩してご自分の部屋でお休みになっておられますので……」
「そんな事は分かっているんです。平野さんに会うことは出来ないんですか?」
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