君の正面

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気分は最悪。。 山の空気はおいしいけれど、一向に彼の気は晴れない。。 彼女達は、お互い楽しそうに笑いあっている。。 その中に一人、人一倍楽しそうにしている女の子。。 両手を広げ、山の澄んだ空気をめい一杯体に取り組む姿は、とても美しく見えた。。 彼女と目が合う。。 自然と彼女にみとれていた僕は、慌てて視線をそらす。。 その後も、度々目が合ってはそらし、合ってはそらし、の繰り返し。。 気まずくなった僕は、山を降りる。。 まだ胸が熱い。。 さんざん辛い目にあってきたのに、全然懲りてない僕。。 その上、とんだ勘違い野郎。。 次の日。。 また同じ時間に山に登る。。 彼女が待っているあの広場に。。 日課なんだから毎日同じ時間になるのは当たり前だと、自分に言い聞かせながら。。 とんだ勘違い野郎。。 彼女はいた。。 今度は一人で。。 僕の心臓はバクバク。。 ベンチに腰掛け、お茶を飲む。。 彼女が言う。。 『おはようございます。。この辺りに住んでるんですか??』 僕の心臓、バクバク。。『は、はい』 『この場所、いいですよね』 『は、はい』 終了。。 その日の夜、あらぬ妄想ばかりする、妄想族の僕。。 とんだ勘違い野郎。。次の日。。 そのまた次の日。。 彼女は毎日現れ、僕と話す。。 お互い慣れて来たせいか、ぎこちなかった会話も少し滑らかになる。。 彼女の大学生活、飼っているペットの話、ハマッているドラマの話。。 僕は真面目に受け答え。。 真面目に?? 普通に?? 『僕の受け答えって普通かな~』 真面目に質問。。 『え??普通って言えば普通かな~』 『普通過ぎると嫌われちゃうよね』 『え??そんな事ないと思うけど。。てか、誰に??』 『え??』 考えすぎの僕。。 とんだ勘違い野郎。。 最近、人生が明るくなってきたように感じる。。 彼女のおかげ?? それは勘違いじゃなくホント。。 そう。。 僕は彼女に恋してる。。 今日だって彼女に会いに山を登っている。。 いつも彼女はそこにいる。。 いつか彼女に打ち明けよう。。 溢れる思いを。。 この胸いっぱいの愛を。。 いつか彼女の。。 君の正面で。。 ? 僕って、やっぱり。。 とんだ勘違い野郎??
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