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それはとある森に住む鳥のお話です。
ある森の奥の奥に、ヤーグという大きくて真っ黒な鳥が住んでいました。
ヤーグは心の優しい鳥でしたが、大きな体と鋭いくちばし、そして獰猛な鳴き声をしているため他の鳥達からとても恐れられていました。
そんなある日、誰も近づかない筈の森の奥で、小さな小さななき声がしたのです。
ヤーグはその場所へゆっくりと向かいました。
そこにいたのは真っ白でとても小さな鳥でした。
ヤーグはその小鳥を怯えさせないよう、小さな声で話しかけました。
出来るだけ優しく、ゆっくりと…
「いったいどうしたんだい?」
「ひっ!僕なんか食べても美味しくないよ!こんな痩せっぽちな体に肉なんてちょっとしかないんだからっ」
真っ白な小鳥はヤーグを見るなり翼で体を隠しながら叫びました。
体はガタガタと震え、逃げることすら出来ないほど怯えていたのです。
ヤーグは少し離れたところで止まり、怖がらせないようにさっきよりもっと優しい声で語りかけました。
「食べたりしないよ。大丈夫。それより君は何でないていたの?」
「ぼ、僕のことをみんなが…ば、バカにするからさ。僕は小さくて飛ぶのも遅くて何の役にもたたないんだって…」
「そう…そんなことを言った奴らは見る目がないね」
ガタガタと震えながらも、その理由を答えた小鳥に、ヤーグは言いました。
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