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小鳥が怖がらないようにその大きく真っ黒な体を小さく丸めて。
「どうしてさ?僕だってわかってるんだ!僕が何の役にもたたないことぐらい…」
「そんなことないさ。だって君のその羽は真っ白でとても綺麗だ。それにその声。私はこんなに美しい声を聞いたことがない。君の奏でる歌はさぞかし美しいだろうよ。君をバカにした奴の前で歌ってみてごらん?きっと目を丸くして顔を赤くして飛んでいってしまうさ」
「え?」
「どうして誰も気づかなかったんだろうね?初めて会った私ですら気づいたのに…」
クスクスと笑うヤーグに、小鳥は自ら近づいて来ました。
その目にはもう恐怖の色はなく、不思議な不思議な色をしていました。
そんな小鳥を傷つけないように、ヤーグは鋭いくちばしを羽の中に隠しながら喋りました。
「私のことが、怖くないのかい?」
「僕、綺麗だなんて言われたの初めてだよ。凄く嬉しかった。だから怖いより嬉しいの方が強いんだ。ありがとう!」
「私もそんなこと言われたのは初めてだよ。…さぁ、ソロソロお行き!こんなところにいないで、仲間の元に戻るんだ」
ヤーグは初めて怖がらずに接してくれたこの小鳥を大切にしたいと思いました。そして、大切だからこそ、早く帰ってほしかったのです。
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