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怖がられている自分と、いつまでも一緒にいてはいけない。
この小鳥の為に、ヤーグは言いました。
「うん。わかった…今度はね、歌ってみるよ」
「あぁ。そうしたらいい」
「ねぇ、最後に一つだけ……あなたの名前、聞いてもいい?」
「私かい?私はヤーグ。ヤーグだよ…」
「うん!わかった。ありがとう!ヤーグ!!」
「もうなくんじゃないよ」
小さな鳥はお礼を言うと、小さな翼をパタパタ動かし、青い空へと消えていきました。
これでまた一人。いつもの生活。
ありがとうと言われた心の温かさと寂しさを抱え、ヤーグは巣へと戻って行きました。
もう会うことはないだろう、小さな鳥の幸せを願いながら。
しかしその考えは間違っていました。
小さな鳥は次の日もまた、ヤーグの元へやってきたのです。
「ヤーグ、ヤーグ。聞いておくれよ」
「君は昨日の小鳥じゃないか。いったい何しにきたんだい?」
「何ってヤーグに会いにきたのさ!それより話を聞いておくれよ!」
昨日の怯えようはどこに行ったのか。小鳥はヤーグの周りを飛び跳ねながら喋りました。
「ヤーグが言うようにみんなの前で歌ってみたら、みんなびっくり眼さ!もうボロって落ちそうなぐらいにね。みんななんて美しいんだ!なんて言っちゃって、僕のことをちやほやしだしたんだよ。それに僕のことをバカにしてた奴だって僕と友達になりたいって言ってきたんだ!」
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