─act.1─

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一体、どのくらいの民に詫びれば良いのだろう。 自分の父が玉座についてからの死者、その数は計り知れない。 かつて、彼女の祖父であり、現王の父であるルイホルム王は、名君と呼ばれるほどの逸材で、国を大いに発展させた。 しかし、良い人程先に逝くとはよく言ったもので、僅か四十三で病に倒れ、この世を去った。 そこで王位に着いたのが、彼の一人息子であるビルホルムである。 ところが彼は、母親に甘やかされて育った為、国政の事など何一つ分からない。 それでも、彼の父が残した臣達のほとんどが有能であったため、最初の一年はなんとか大きな問題もなく乗り切った。 ところが翌年、王が妻をめとった事で国は大きく傾く。
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