水中花3

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事後に女はこうも云った。   「もし、貴方が里へ無事ご帰還なさった時は  私は同じ此の場所で真っ赤な着物でお迎え致しましょう。  私は決して貴方の死を望んでいるわけではありません。  どうぞ、ご自愛も忘れないで。」 男から聞いた話は大体こんな感じ。 「犯罪性が在る」と彼に云えば、きっと他にも遊郭の名前やら場所やら、女郎の詳しい特徴まで訊く事が出来ただろうが・・・。 そこはまぁ仕方がない。 とにかく調べるしかない。 話には本当にどう考えても腑に落ちないところばかりだ。 男の事情を知った上で女を宛った辺りもそうである。 金と性処理と言う利害の一致。 その上での契りは、脆く、そして扱い易い。 逆にお互い干渉しない事が唯一の固い条件で有ると言っても良い。そういうのが俺みたいな奴には丁度良いから行くのだ。 まぁ稀に勘違いして、愛だのなんだの言って逃げた挙げ句・・・・って奴もいるが。 こんなこと本当に自慢にもならないが、当時在った元服制度の儀式を終わらせたか否だったか。 それくらいから既に遊郭には結構お世話になっている。其れなりに内情には詳しいつもりで居たが・・・。 「喪服の遊女・・・ねぇ・・・」 ポツリと呟く。 自分の中の記憶や経験上にまったく浮かばない存在。 気にならない筈がない。 女の人間性なんかは大体予想が付くし (大方、金で買われて無理矢理そんなコトを強いられているか。若しくは、まさに自ら其れを望む様な自己犠牲精神の塊みたいな女か。はたまた只の馬鹿なのか。) 他人の素性なんか全く持って興味が湧かない。むしろ趣味の悪さに退いてしまう程。 只どうしても「オカシイ」と思ってしまった気持ちが消化されなかった。
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