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毎日鬱陶しいくらいに雨が続く…。夏を間近に控えたこの時期憂鬱になる人も多いはず…そう梅雨だ。
少年の特等席…それは窓側の最後尾。彼はいつもぼんやりと外を眺めている。それが彼にとっての至福の時間だ。当然授業など聞く由もないのだが成績か悪いわけでもない。…と、言うより上から数えた方が早い。彼の名は、生田淳(いくたじゅん)…ここ志浦(しうら)高校の二年だ。
毎日同じ風景を見ているとほんの些細な変化にも感覚的に気付くようである。今日の雨の風景にも淳は何か違和感を感じていた…。それが何かはわからないのだが。
何がおかしいのだろう…そんな事を考えていると…
バシィッ
突然頭を叩かれた。
「淳、おっ昼だぞ~」
幼なじみの皐月真衣(さつきまい)が淳の背後で満面の笑みを浮かべて立っていた…。
「いてえなぁ…」
淳は一瞬、真衣の方を向くが呟くようにそう言い放つとぷいとまた外を眺めだす。
「ほらっ、購買に行くよっ」
真衣は淳の腕を掴むと強引に淳を引きずって教室を後にした…
「や、止めろって…」
遠くで淳の声がした…。
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