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今度響いた鈍い骨の砕ける音の持ち主は珀劉であった。咄嗟にガードとして出した右の腕は骨が折れて気持ちの悪い色に変わり、事態を収拾すれば直ぐに珀劉は土方を睨みつけた。
「何故…」
何故、と自分の身に起きたことを完全に理解しきれていないのか零れた言葉に土方は刀を鞘に収めて笑った。
「お前が自分で情報を漏らしたんだ。テメーの体の寿命が短いことを」
「!」
すっ…、と拳を作って珀劉を見据える土方に続くように、理解した沖田が刀を収めた。
「珀劉、あんた部下たちが旦那を捕まえてくるまで動く気がなかったんじゃないですかィ?」
「………」
「理由は一つ」
「強力な力を持った自分が乗り移ることにより、乗り移った武神たちの力も手に入れることが出来た。が」
「その他を圧倒する力に体が直ぐに保たなくなる」
「そして、今現在のあんたの顔、攻撃を食らってないのに皮膚が爛れてきてるぜ?」
「ッ、龍戯ィィイ!早ク、早ク!朽チルノハ嫌ダァアア!!」
土方や沖田の言葉に顔を隠すような仕草をしてから叫びだせば、珀劉の体からは骨の折れる音が次々とした。
「今だ!かかれェェエエエ!」
土方の声を筆頭に珀劉へ一斉攻撃を仕掛け、最後に土方が確認した音は首のとれた醜く汚い音だった。
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