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次々と骨の折れる鈍い音がする。
「ハハハハハ!弱イ!ソンナ力デ俺ヲ殺スナド無理ダ!」
珀劉の実力に立っているだけでも奇跡だと隊士たちは、震える手で刀を構える。
カタカタと鍔のなる音に珀劉はただただ馬鹿にしたような笑みを返すだけだった。
「俺ハ体術ダケシカ使ッテ無イトイウノニ……コレデハ今ノ幕府ノ力ガ知レルトイウモノ」
屈辱的な言葉に近藤は表情を歪めるが、珀劉は気付いた様子も見せずに目の前に立っている土方に近づいた。
「副長!逃げてください!」
「ゲホッ、副長!」
「トシ!」
「土方コノヤロー!つっ立ってねぇで逃げろィ!」
聞こえているだろうに動かない土方に隊士たちは震える体を動かそうとするが、顔を上げた土方の表情に動きを止めた。
「何デ笑ッテル……?」
珀劉も土方の笑みに戸惑ったのか土方まで、あと数メートルの場所で踏み留まった。
「珀劉、お前の動き。だんだんと遅くなってることに気付いてねぇのか?」
瞳孔の開いた目を細め、口元に浮かべていた笑みを止めて土方は珀劉に刀を向けた。
「お前の身体、ガタが来てるぜ」
────バキィィ!
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