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「そう……あなたの選択次第です」
裕二はそう言うと右手を高々と挙げ勢いよく降り下ろした。
すると足元から柵のようなものが飛び出した。
「なっ!」
ガシャン!!
「なんだ!?どうするつもりだ!」
「どうするもなにも、これはあなたを……いや、風使いの生き残りを捕まえるための罠ですから……」
「生き残り?まだ他にも……」
そういいかけて私は言葉に詰まった。
私の視線の先に見覚えのある人々によく似た石像の様なものが並んでいたのだ。
「あぁ気付きました?あれは私に敗れた者達の成の果てですよ。 記念に石像として飾らせているんです」
「あれは全部、風使いの……?」
「えぇ、あなた以外の一族の方々ですよ。あなたの両親も何処かに有るのではないですかね?」
「貴様!」
その言葉に私は怒りを覚え飛び付こうとしたが、頑丈な鉄格子に阻まれ身動きをする事すら出来なかった。
裕二は私が怒ったのを確認するとゆっくりと近づきながら私に問いかけた。
「ところで……話は戻りますが、紘美さんに会いたいですか?」
「紘美には手を出すな!」
「わかってないようですね。
紘美さんは私の婚約者ですが……私にとってはあなたを誘き出す為の餌でしかないのですよ。」
「貴様というやつは……!!」
「あなたが私との決闘を受けて頂ければ、紘美さんには手出ししませんよ。
それに、会うことも許可してあげますよ。いかがですか?承知して頂けますよね?」
「決闘だと……?それを受ければ紘美は自由なんだな?」
「自由……とは、少し違うかも知れませんが……大切に扱いますよ。あなたの代わりに……ね」
「……」
私は少し考えた。
紘美には幸せになって欲しかった。
しかし、裕二のことは信用出来なかった。
私が悩んでいるのを見て、裕二が念を押すかのように繰り返した。
「あなたが勝てば、あなたにお返しします。要はあなたが私に勝てばいいんですよ。
それとも……私に勝つ自信が無いのですか?」
その言葉は私の逆鱗に触れた。
「私が貴様などに負けるはずがない!!
いいだろう!その決闘、受けてやる!」
「……良かった。それでは後日、日時をお知らせしますので、それまでに体調を整えておいてください」
そういうと、私を囲んでいた柵がバタンと大きな音をたて倒れた。
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