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そんな願いも虚しく刻限が来、闘技場の門の前には、零子の姿があった。
その姿を確認した祐二は門を開けるよう指示をし、闘技場へと降り立った。
「ようこそ! 我ら一族の因縁の地へ」
微笑を浮かべながら道化士の様な一礼をし、零子を迎い入れた。
それの言葉を聞いた零子は祐二を一睨みし、門をくぐって入場した。
「零子……」
隔離された観客席からは、裕美が祈るように零子を見つめていた。
この場所が新たな運命の地となると判らずに……
こうして最後の決戦が始まった。
開始の合図など二人には要らなかった。
ただじっと何かを待っいてるかの様に、二人とも向かい合ったまま、微動だにしなかった。
何時経っただろうか、一陣の強風が駆け抜けた瞬間、二人が同時に動いた。
それからは激しい攻防戦が繰り広げられた。
裕美はその壮絶な闘いを遠くで見守るしか出来なかった。
零子は裕美の自由の為に、裕二は一族の無念を晴らす為にこの闘いを始めたと言うことを知っている為に、どちらも応援すら出来ないでいた。
ただ一つ、どちらにも死んでほしくない……という想いのみだった。
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