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風使いと風魔士
あれから零子は部屋にこもる日が多くなり、日課だった風読みもしなくなってしまったの。
私も何だか気まずい雰囲気の中、裕二の去り際の言葉が頭から離れずにいた。
不安が解消されないまま数日が過ぎ去ったある日、零子から話し掛けてきてくれた。
「紘美……ずっと話すべきかどうか迷っていたんだけど……」
零子はいつもと違って私と目を合わそうとせず、少しの沈黙の後、ゆっくりと言葉を続けた。
「……私達の一族の話は前にしたよね?」
「ええ、風を読んだり、操ることが出来たって話でしょ?」
「うん」
零子は言葉を選びながら淡々と話しを続けた。
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