第零章 契約

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約15年前―― 「申し訳ありません、約束の時を……」 『…………』 二人の男女が、海辺で語る。 正確には片膝を着いた男が一方的に謝るだけ。 それからは荒波の音が鳴り響き、会話は一切なくなる。 『大事なのは……あなたの答……』 ようやく発した言葉は、怒りなど微塵も感じさせないほど落ち着いた物だった。 「はっ、もちろん受けさせて頂きます」 『そう言うと思ったよ……』 女は膝を着いた男の頭に手を当て、何やら祈り始めた。 すると二人は光に包まれ、瞬時に海辺から消えた。 15年前のことである。
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