フラテイ

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「………ん」 朝、テイトは目が覚めた 普通の人なら寝ている時間だろうが、教会の朝は早いのだ 「………」 もぞもぞと動きながらも一向にベッドから出ようとしない 「………」 眠いのは事実だが、起き上がれないほどではない しかし、テイトは何かを待っているように布団にくるまっている 「………!」 かすかだが、テイトの体が反応した 耳を澄ませば足音がする テイトは頭まで布団をかぶり、今まさに近づいてくる人を待った 「起きろ、クソガキ」 少し乱暴に扉が開けられた 「おい、いつまで寝てんだ?」 「おはよう!!」 軽く体を揺らされた瞬間、勢いよく抱きつく 「うぉっ!?………クソガキ、狸寝入りしてやがったな」 「へへっ……」 テイトは本当に嬉しいそうに微笑んだ 「たくっ……。おはよう、テイト」 「おう!」 ニコッと笑ったテイトにフラウの顔が赤くなる 「テイト、その顔…俺以外に見せるなよ」 「………?」 意味がわからない、と言うように首を傾げる 「………っ、それも禁止」 「へ?」 「いいから、な?」 優しく微笑みかけられ、今度はテイトの顔が赤くなる 「……そ、それより早く行こうぜ!」 「待てよ、テイト」 あわてて行こうとするテイトを呼び止める この二人、フラウとテイトはつい先日『恋人』になったのだ 周りはやっとか……と、呆れていたそうだが 「何だよ」 てくてくと歩いてフラウのとこまで戻る 「おはようのキスがまだだろ?」 「…………っ、な、なな何言ってんだ!!」 大人の余裕を見せるフラウとは逆にテイトはこれまで以上に顔を真っ赤にした 「いいだろ?」 「………………」 「……テイト?」 「…………」 「…嫌か?」 「!!べ、別に嫌じゃ……んぅ」 うつむいた顔をあげた瞬間に唇に温かいものを感じた 「ん………ふぅ……んぁ」 「………ごちそうさま」 「て、てめぇ!ふざけんな!!」 「大真面目だぜ?………ほら、早く行かないとカストルに怒られちまう」 「………っ」 なんだかんだ小言を言いながらもフラウの後をついていくテイト 今日も、教会では平和な1日が過ぎていく
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