始まりはなにも朝や夜や昼でなくともいい

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靴を履き、玄関の扉を開ける。 「行ってきます。」 と、部屋に向かって呼び掛けるものの、返事は来ない。 当たり前だ。誰もいないのだから。 俺、高田拓也は今までどうでもいい人生を送って来た。 それを一言で表せと言われればそれは無理だが、だからといって決して内容の濃い人生ではない。 適当に生まれ、適当に育ち、適当に 他との関係を持ち、そしてこれからも適当に生きていくのだろう。 それを悪いと思った事は無い。実際に適当に生きて良かった事もある。 「よっす!」 俺が呼び掛けるとこちらを振り返るあいつ、原西純平は、俺が適当に生きてきたから出会えた親友だ。
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