ヒトダマ

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当時から古本屋めぐりが好きだった私は、 1冊のオカルトコミックを入手しました。 ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 今は亡き『ハロウィン』という雑誌に、読者体験談をマンガ化するコーナーがあったんです。 (のちに隔月刊誌『ほんとにあった怖い話』となりました) そのコーナーをまとめた単行本でした。 その本に、こんな話がありました。 『自分は知人が死ぬ前、その前兆が分かる。 ある時、トイレに入ると天井から生首が降ってきた。 よく見るとそれは知人Aさんの顔をしていた。 翌日、Aさんが亡くなった。 またある時は別の知人Bさん、またまた別の日はCさんの生首が落ちてきた。 やはりその人たちも亡くなった』  上から……落ちてくる。 人の死の前に。 私は妙に引っ掛かるものを感じました。 同じように落ちてくるものを自分も知ってる……。 そうだ、ヒトダマだ。 もしかしたら、この人は私と同じモノを見ているのではないか。 だとしたら…… あのヒトダマ、よく見たら人の顔をしていたのかも……。 そう思えてきました。 ヒトダマの正体。 それは“生首”だったのかもしれません……。 (第一話・End)
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