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微かな海の香り、無限に広がる空、天頂の暖かい太陽。草の優しい、自然な香もする。
優しくて、穏やかで、大自然の愛にだけ包まれている場所。
その上に寝転んでいた黒い少年は、長い夢に寝ぼけたかの様にフラフラと起き上がった。
「……何故、此処にいる。何故、此処に在る」
彼の虚ろな視界はただ、広がる青と緑を捉えていた。
美しいという感情はそんなに浮かんでこない。
それよりも脳内は自己に対する疑問ばかりで支配されているのだ。
「何故──」
そうだ、とふと少年は思い出す。
全てではないが、その記憶の欠片が脳内に転がり込んできた。
「俺は……死んだ?」
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