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「………迷った。」
一本道を真っ直ぐに添ってくれば簡単に町へとたどり着くと聞いていたゾロだがその視界には海が広がっている。
勿論自分達が上陸した浜ではない事を証明するようにそこにはゾロ一人の足跡しか残っていなかった。
さて、どうしたものかとゾロが辺りを見渡していると足元で白い何かがユラユラと揺れた。
何かと視線を向けてみると綺麗な白い花がプカプカと波に乗り揺れている。
花びらは厚手で見かけないその花はこの島の特産物なのかとゾロは手を伸ばし花を掴もうとした。
が花はゾロの指先に反応するようにサラサラと海へ溶けだし消えてしまった。
「ルズィの花か…」
消えた花に驚いたゾロの背後から優しさに満ちた声が聞こえる。
振り返ると酒場にいる筈の愛しい恋人であり倒すべき目標の男がいた。
「ミホーク…。悪い、また道に迷ってた。」
ゾロはまた迎えに来てくれた相手に眉尻を下げ笑う。
そんなどこか幼げ表情もミホークは大好きで仕方がなかった。
「ロロノアに会えたからよしとしておこう。」
やんわりとゾロの手を握り締めると引き寄せ自らの腕の中に捕える。
そんな優しき檻も男のだからこそ居心地が良くゾロは抵抗せずに胸板に顔を寄せ甘える。
二人だけの時間。
セックスするでもなく
酒を飲み交わす訳でもない
ただ、
ただ一緒の時間を惜しむように二人で過ごす時間も二人は大好きで大切にしていた。
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