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スラッと背が高くモデルのような彼女は、一馬と同じ高校の同級生、高校三年生の18歳である。
派手すぎないメイクに、ピンクを基調としたネイル、胸元まで伸びたブラウンの髪の先端の方をフワリと巻いた、まさにイマドキの女子高生、といった出で立ち。
学内でも一、二を争う美人で、一馬同様かなり目立つ存在だった。
そんな春香が、一馬の体に腕を回して惜し気もなく密着し、誘うような上目遣いで彼を見つめている。
一馬への好意は明らかだったが
しかし、一馬の心は大して動かされはしなかった。
「お前なぁ、いきなり抱き着くなよ。心臓に悪い」
機嫌の悪さを隠さない言い草で、一馬は春香の手を引き剥がす。
周りにいる同じ学校の制服を来た生徒たちが、好奇や羨望、あるいは燃えるような嫉妬を込めてふたりを横目に眺めていく。
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