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「そう言えばさっき結婚がどうとかって言ってたけど・・・?」
ギクリと、体が震えた。
なんとなく、一馬は今自分が置かれている状況を、他人に知られたくなかった。
・・・まあ息子の同級生を狙う父親のことも、あまり人に知られたくはない話ではあるだろうが。
なにより春香も、花嫁候補のひとりである。
一馬はチラリと、春香を盗み見た。
いつも表には出さないが、一馬だって春香のことを、何とも思っていないわけではなかった。
可愛いと、心底そう思う。
性格だって、多少強引ではあるが、そんな所が気に入ってもいた。
春香の望む反応はしてやれていないが、ストレートに気持ちを伝えてくれることに、悪い気はしていない。
ガールフレンドの中では一番親しいし、第一候補は、きっと彼女だろう。
だからこそ、知られたくない。
父の持ってきた見合いを断る為に結婚するのだと、思われたくはなかった。
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