敬称、キングコング

2/4
前へ
/231ページ
次へ
  佐伯一馬は、江戸時代から続く由緒ある旧家の長男で、ふたりの姉の後に産まれた待望の後継ぎである。 昔から、佐伯家の人間は18歳になったら結婚相手を決めなければならないという古いしきたりがあり、先日18歳になった高校三年生の一馬は、今まさにその渦中にいた。 何せふたりの姉もそれに従い、当時付き合っていた男との間に子どもを作り、半ば強制的にしきたりを守ったというので、一馬もないがしろにはできないのだ。 しかも、長男の一馬の場合は姉たちとは違い、その結婚は大きな意味を持つ。 よって、変な虫が寄る前にと、父、佐伯権蔵右衛門(サエキゴンゾウエモン)が嫁を手配した、という所なのだが・・・。   「何がイヤじゃッ!! こんッッッなぷりちーな娘さん、もう二度と巡り会えんぞいッ!!!!」 「どこがぷりちーなんだよッ!!! その眼鏡度が合ってねぇなら叩き割るぞこのゲテモノ親父っ!!!!」 自分の親をゲテモノ呼ばわりもどうかと思うが、まあ、一馬の言うことは否定できない。 とにかく権蔵右衛門の趣味というのは・・・酷いのである。 権蔵右衛門が小躍りしながら持ってきた見合い写真に写っていた女性(?)は、そりゃあもう・・・すごいのだ。 描写は、一馬が前述した通りである。     
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

432人が本棚に入れています
本棚に追加