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「母さんは綺麗な人だったのに・・・」
そう呟きながら一馬が顔を向けた先には、十年以上も前に亡くなった母親の遺影が笑っていた。
「ああ・・・梨華子は本当に美しい人じゃった・・・。だがな息子、『美しい』と『ぷりちー』ではまた話が違ってじゃなぁッ!?」
「話どころか生物学的な種族から違うんだよッ!!!! ぜってぇ認めねぇッ!!!! コイツが人間だなんてぜっっっってぇ認めねぇからなッ!!!!!」
拳を作り力説する父(御歳71歳)を一蹴し、一馬は見合い写真を畳に叩き付けると、父の部屋を後にした。
すると、一馬の背中に・・・
「かぁああああずまぁあああッ!!! 名前がこれまたぷりちーなんじゃって!!!! 『澤田=アダマンテス=キン=グコン=グレンダ=聖子』ちゃん、と言って・・・」
「途中一回『キングコング』入ったじゃねぇかああぁああああッ!!!!」
以降、一馬は彼女のことを『キングコング』と敬称する。
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