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俺の親父は工場勤めで、安月給だった。家も会社の寮。
いつも帰ってきたら油くさかった。んで、飯食って、風呂に入ったら、いつも決まって焼酎を飲む。
親父の匂いは油と酒。正直……臭い。
俺が中二になった時から、高二まで。
隣の部屋に、ケンちゃんって言う、親父の職場の班で一番若い兄ちゃんがいた。
少ない小遣いを親父から貰っては、よくケンちゃんの運転で街まで買い物に行って、流行りの服だとかを買ってた。
ケンちゃんが転職でいなくなった次の月。親父と一緒に街まで買い物に行った。
親父は、如何にも若者という感じの服屋で、ただひたすら物珍しそうにきょろきょろしていただけだった。
母親との記憶は何もない。ただ、今思えばあの時の親父の、何も喋らないけど楽しそうにしているあの表情に惹かれんたんじゃないか?
そう思ってる。
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