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親父は物凄く一途な奴だった。
……と思う。朝起きる時と、夜寝る時は、必ず母ちゃんの遺影に手を合わせていた。
その背中が印象的だ。
遺影の中の母ちゃんは、物凄く美人だった。
無精髭が生えて、如何にも。って感じの親父とこの母ちゃんじゃ、全然釣り合わない気がしていたが、母ちゃんが親父に惹かれたのは、その一途さもあったからかもしれない。
毎年、盆と命日は母ちゃんの墓参りに出掛けた。俺は、すぐに合掌を終えるのだが、親父は決まって一時間きっかり墓の前に立っていた。
俺はテキトーにその辺をぶらぶらしたり、とにかく一時間経つまで暇を潰すのが、毎年恒例という感じだったのを覚えてる。
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