下界

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目を開ければそこは賑やかな街だった。 前を見れば城、左を見れば食物や武器を売る露店、右を見れば立派な民家が建ち並ぶ。 生命が溢れる街だ。 迷うことなく足を踏み入れそのまま歩き出す。 石造りの道は歩く度軽快な音を立てる。それに気づく町の人は皆振り返る。 見たことのない人なのだから驚くのは当たり前だ。 驚きながら見る者もいれば、流れる蒼紫の髪にうっとりと惚れ見つめてしまう者もいた。 やがて青年は城門前とたどり着く。 門の前にいる、盾と槍を持った門番兵が青年に聞いた。 「そなた、名前は?」 「…アヴィラ・ファウストだ」 「…!!」 門番兵は驚き慌てて城門を開く。 「ど、どうぞお入りくださいませ!!な、中で王がお待ちしております!!」 「ありがとう…」 そう言い残すと青年はさっさと城の中へ入っていった。  
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