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唯一の発散場所は、渋谷の雑居ビルにあるクラブへ行く事だった。
「よっ!りょうちゃん!」
『よっ!』
ここでは本名も、素性も知らない同士が集まり、夜を明かしてゆく・・
誰にも気兼ねなく過ごせる場所・・
狂った様に踊り・・
浴びる様に呑む・・
小さなハコの中で、頭が割れそうなくらいの音楽やむせ返るくらいのタバコの煙に塗れながら。
『・・ッツ・・・』
<呑み過ぎたかな・・頭がグルグルする・・
明日は早番だからもう帰るか・・>
仲間に手でバイバイの合図し、一人その場を後にした。
バスも電車も無い時間・・
自宅のある世田谷までタクシーで帰る為、人気の少ないタクシー乗り場へ向かう。
<一台も止まってない・・>
仕方なく来るのを待つ。
9月も下旬・・つい最近まで夏が名残惜しんでいたというのに、めっきり東京の夜風も冷たく感じる・・
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