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平日の夜中だからなのかタクシーはなかなか来そうにない。
「キミ名前は?何処住み??」
『男のくせにお喋りね・・まぁいいや・・名前は涼。世田谷に住んでる。』
ぶっきらぼうに話す涼に笑いながら男も話を続けた。
「(笑)俺は和哉。涼ちゃん学生さん?」
『・・三茶のカフェで働いてる・・和哉さんは?』
「おっ!食い付いてきた?(笑)」
『話に乗ってあげてんのよ・・』
「なんだ(笑)」
どのくらい話しただろう・・
和哉が話を振り、それに涼が答えるだけだったが・・
涼には誰かとのまともな会話は久し振りであった。
「あっ!やっと来たぜタクシー!!」
『本当だ』
個人タクシーが二人の前に止まりドアが開いた。
涼が先に乗り込み、
『和哉さんはどこまで?』
と言うと・・
「俺、代官山だから歩いて帰れる!じゃ気を付けて帰れよ~」
とだけ言い歩いて行ってしまった。
<・・もしかして、タクシー待つの付き合ってくれただけ?・・>
もう会う事の無い人。
なのに・・タクシーが走りだし、家に着き布団で眠りにつくまで、何度も和哉の笑顔を思い出していた・・
少しだけ心が温かいのを感じていた涼だった・・
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