偶然か必然か

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大きな黒い傘を広げ、涼を傘の中に入れる和哉。 「ビチョビチョじゃん!どうした?!」 『うぅっ・・』 また会えた嬉しさと、誰かが声を掛けてくれた安堵感とで、一気に込み上げポロポロ雨に交ざり涙が出てくる・・ 「えっ!何かあった?ってか、涼ちゃんちこの辺?」 黙って俯き、頷く・・ 「ぢゃとりあえず家に向かお!!案内して!!」 自転車を押す涼の背中を支え、傘を差してくれる和哉・・  世田谷通りから細い道を入り、閑静な住宅街にあるアパートに着いた。 靴の中まで雨が入り、二階の涼の部屋までも足取りが重かった・・ 部屋のドアを開けると、ほのかに香るお香の薫りがしてきた。 可愛いインテリアが置かれた部屋に暖色系の灯りが灯る。 二人中に入り、バタンとドアが閉まった時・・そっと和哉のシャツの裾を涼が掴んだ。 「・・涼ちゃん・・」 涼の方に振り返り、涼を強く抱き締める和哉。 出会って二度目で抱き締め合う理由なんて何でもいい・・ 雨に濡れ寒いから?・・ 人恋しかったから?・・ ずっと貴方に会いたかったから?・・ そっと涼が顔を上げると二人キスを交わす・・ 求め合う様に長く長く。
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