愛か依存か

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私の履歴にはいつも あの人の名前があった あの人と私には 携帯が不可欠で 遠く離れた私たちを 一つに繋ぐ 大切な手段だった。 これまで使っていた携帯のうち 歴代三台にわたって (時には途切れながらも) なんだかんだで繋がりあっていたあの人。 彼氏であり 兄であり 先輩であり 友人であり 離れていてもいつも近くて 運命かも、なんて 思ったりもした。 今となっては 二度と手の届かない 他人になっちゃったあの人だけど。 さよならを決めたあの日 あの時からもう 何度も 自分に言い聞かせてきたはずだった。 二度と あの人からの メールは来ないと。 あの人からの着信で 携帯が震えることは 無くなったのだと。 私はもう失ったのだ。 あの人の声も 温もりも たわいない世間話も わがままな嫉妬も 夢のような未来の話も 確かめるような抱きしめ方も 次に会う約束も これまでしずかに流れていたあの人との時間すべて。 当たり前になりかけていたあの人の存在。 失ってから気づく、とはまさにその通り。 本当はお互いに 冷めていたのかもしれないし 私自身も 潮時だなんて 思っていた けれど ここのところ ずっと 恋しい すごく 悲しい だからって どうこうできるわけじゃないけど 私は あの人のことばかりを 考えてしまう ただ そんな自分が 情けなくて すごく キライ。
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