「 告 白 」

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「えっと、何か……」 「あのっ、これっ、私の気持ちですっ」 半ば強引に、彼女は僕の胸に綺麗にラッピングされた小箱を押し付け、顔も上げずに走りさって行った。 これで今日何度目だろう。僕は小さく溜息を吐いて、押しつけられた包みを指先で弄ぶ。 こんな小さなモノが気持ちと言われても、僕としては困惑するしかない。これを渡してきた顔もうろ覚えの、おそらく言葉を交したのも初めてであろう彼女達が、この先僕に何をさせたいのか、どうしたいのかが全く分からない。 気持ちをぶつけるだけで満足なのか?こちらの困惑も考えずに?そもそも僕は―― 「千華ぁ、またチョコ貰ったの?モテすぎじゃね?」 くすくす笑いながら近付いてくるのは、同級生の亜由美。寒さ厳しいこの季節に、私服高校ならではのモッズコートからすらりと伸びた脚が女の子っぽい。 対する僕はというと、背も高いしバレー部主将な立場もあって髪は短く毎日ボーイフレンドジーンズ。 これで「女の子です」っていうのは無理があるのだろうか。 「つか、登下校の電車の中でしか会わない子に、チョコ貰ってもねぇ……」 彼女達の想いをどうしてくれようか。 僕は途方に暮れるしか無かった。
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