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辺りが夕闇に染まる頃、俺:レオは教会に来ていた。
大嫌いなこの場所の掃除をする為に。
「…あの神父め、俺は嫌いだっつってんのに。」
父親は神父。
将来は俺が跡を継ぐと決めて、毎日こんな事させる。
「…テキトーにやろ。」
持ってきた掃除用具で掃除し始める。
教会は小さいが、一人で掃除するのは大変だ。
椅子や床はテキトーにやり、最後に飾られている水晶を丁寧に磨く。
俺は、この水晶だけは大好きだった。
コレが俺を縛りつけているのは知っているが…
「…こいつだけは何故か守りたいんだよなぁ。」
いつかはこの水晶と共に教会から…この村から出て行くのが夢だ。
夢見るだけで叶わなそうだが…
俺は憂鬱に呟いた。
「こんな所から出て行きたいな…」
「その願い、叶えてやるよ。」
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