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泣かせたのは俺。
でも、それを止めることが出来るのも俺。
「何が不安なんだよ…」
「不安なんかじゃ…」
今にも流れ落ちそうな涙を必死に堪えて強がり言うその姿が無償に大切な存在に思えた。
「こんな急に好きだなんて言ったから泣いたんだろ?」
「ちがっ……」
口では無理に否定しようとするが、震える体が全身で肯定している。
「不安になるなよ、心配するな、これは夢なんかじゃない。俺を信じて……」
俺の言葉に僅に見開いた瞳からとうとう涙が一滴溢れ落ちる。
愛しい……
ふいにそんな気持が沸き起こる。
その気持を伝えたくて雅樹を抱き締める。
これからもきっと、不安を抱え一人涙を流す夜もあるかも知れない。
だけど、その時はこの温もりを思い出して欲しい。
何時でも俺が側にいることを感じて欲しい。
俺は何時までもお前の側で守り続けると、その涙に誓うから……。
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