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これまた同じようなことを思っていたので、もはや返す言葉がない。
私だってエルのように憤りを感じているのだが、どうしようもない現実なのである。
私は自分でもわかるほどの仏頂面をしながらも、その視線は常にカンナの姿を追っている。
「確かに何かあれば、私たちでも間に合いません。
だからこそ、事前に異変を感じられるように警戒し続けるしかありませんよ。」
それに彼であれば、滅多なことがない限りは大丈夫だろう。
魔法に関しては天下一品だし、いざとなれば彼のパートナーたちが呼びかけることもなく出てくるだろうから。
「ですが、問題はそんなことではありません。」
そう、賊に対する対策は万全と言ってもいい。
しかしそれよりも厄介なのが、他国のお偉いさん方との会話だ。
こんなに離れてはいるが、地獄耳と自負する私にはその会話が筒抜けである。
おかげで、先程から上手く笑えない。
「国に対する話であったりただの世間話ならばまだいいですが、下世話な話やどこか見下した言葉はさすがに如何なものかと。」
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