外交

12/23
16029人が本棚に入れています
本棚に追加
/619ページ
これまた同じようなことを思っていたので、もはや返す言葉がない。 私だってエルのように憤りを感じているのだが、どうしようもない現実なのである。 私は自分でもわかるほどの仏頂面をしながらも、その視線は常にカンナの姿を追っている。 「確かに何かあれば、私たちでも間に合いません。 だからこそ、事前に異変を感じられるように警戒し続けるしかありませんよ。」 それに彼であれば、滅多なことがない限りは大丈夫だろう。 魔法に関しては天下一品だし、いざとなれば彼のパートナーたちが呼びかけることもなく出てくるだろうから。 「ですが、問題はそんなことではありません。」 そう、賊に対する対策は万全と言ってもいい。 しかしそれよりも厄介なのが、他国のお偉いさん方との会話だ。 こんなに離れてはいるが、地獄耳と自負する私にはその会話が筒抜けである。 おかげで、先程から上手く笑えない。 「国に対する話であったりただの世間話ならばまだいいですが、下世話な話やどこか見下した言葉はさすがに如何なものかと。」 .
/619ページ

最初のコメントを投稿しよう!