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チュンチュンと、爽やかな朝を告げる小鳥の鳴き声。
それが、私の一日の始まりである。
お気に入りのストライプスーツに、これまたお気に入りのネクタイ。
ちなみに、どれもカンナ様からいただいた誕生日プレゼントだ。
「さて……」
使い慣れた部屋から一歩出ると、そこにはふわふわの絨毯が広がる。
昔は大理石の床だったらしいけど、カンナ様がお倒れになった時に怪我しないようにとマイケル様が特注で作ったらしい。
普段はのらりくらりと上手く仕事をサボるくせに、こういう所はしっかりしている。
しかし、若干違和感のあるこの広い廊下。
『屋敷』と呼ぶに相応しい家なのに、ほとんど装飾品がない。
華美を嫌う、カンナ様のご意見を尊重してのことだ。
王宮のようなきらびやかな場所を見てからこちらを見たら質素で淋しく感じるかもしれないが、どこか静かで大人の雰囲気が漂っている。
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