プロローグ

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その小さなロケットにおさまる、小さな写真。 どこか気弱そうに眉を八の字にする、優しそうな男性。 その隣に並ぶ、勝ち気な笑みを浮かべる自分。 そしてそんな二人の間に座る、ほっそりとした少年。 『ったく―――私もあいつも、腑抜けた顔してる……』 そう言いながらも、その瞳は優しさに満ちている。 『―――行ってくる。』 そう言って写真にキスを落とし、鎧の中にロケットをしまう。 そして顔を上げた瞬間、柔らかな表情は霧散していた。 『総帥、全隊長集まりました。』 『ご苦労。』 ちょうどいいタイミングできた兵士に頷き、その人物は大股で陣に近付いていく。 そして陣の中に入ると、ゆっくりと周りを見渡した。 『死にぞこないが―――全員生きていたか……』 何とも辛辣なその言葉に、隊長たちは苦笑を零す。 『そう言う総帥も、怪我一つしていないですね。』 .
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