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『あとは、貴女の言葉だけです。』
『…………』
そう言って、隊長たちは自分の部隊に戻って行った。
この少し盛り上がった丘の上にいるのはただ一人。
その人物はゆっくりと足を進め、全軍を見渡した。
『お前ら―――心して聞け。』
拡声器など使っていないのに、その人物の声は隅々まで響き渡る。
『我らは―――今から、魔物の大群に突撃する。』
淡々としたその言葉を聞こうと、兵士たちは皆口を閉じている。
『恐れるなっ!
我らがすべきことはただ一つ……』
鞘から剣を抜き、真っ赤に燃える空に突き上げる。
『愛する者、大切な者を守る―――それだけを考えろっ!
後ろは振り向くな!
前だけを見据え、倒れた者は見捨てろ!
一体でも多く魔物を狩れっ!』
そう言って、剣を振り下ろす。
『そしてこの国の未来と、平和の礎となろう。
―――行くぞっ!』
『ウォォオオッ!!』
答えは地を揺るがす雄叫びとなり、全軍が魔物に突撃していく。
全ては、守りたいもののために―――
儚く散っていく味方の屍を越え、全身に血を浴びる。
―――のちに、『魔人戦争』と言われる、大きな大きな戦いの幕開けだった。
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