16029人が本棚に入れています
本棚に追加
/619ページ
スゥっと、何かが浮き上がるような感じ―――
嫌という程感じてきた感覚だ。
この感覚の先を、僕は知っている。
まるで雲の上をフワフワと漂っているかと思いきや、ゆっくりと突き落とされる。
そして―――
「―――やっぱり……」
目が覚めたら、必ず真っ白な天井が見えるんだ。
そして、必ず―――
「カンナ様……?」
こうやって、横から聞き慣れた声が響くんだ。
しかも、毎回毎回どこか驚愕に声が震えている。
そんなことを考えながら、僕―――カンナはゆっくりと顔を横に向けた。
たったそれだけの行為なのに、まるで泥に浸かっているかのように体が重い。
その瞬間、いつも思うんだ。
またやってしまったか、って―――
「おはよう、こんにちは、こんばんは―――今はどれが当て嵌まりますか?」
「世間一般では、こんにちはと言う時間です。」
.
最初のコメントを投稿しよう!