病弱少年

3/17
16029人が本棚に入れています
本棚に追加
/619ページ
僕の若干かすれたその言葉に、よどみなく答える青年。 なでるように艶やかな銀髪は首の後ろで括られ、少し長めの前髪の隙間から深緑の瞳が覗く。 そんな青年に視線を向けながら、僕は何とか体を起こそうとする。 しかし直ぐさま忌まわしい咳が口から零れ、自身を支えていた腕の力が抜けていった。 「カンナ様っ?!」 「だい―――じょぶ……」 枕に顔を埋めながら、僕は片手を挙げて見せる。 一応言葉で大丈夫と言ったつもりだけど、伝わってない可能性もあるから――― しかしそんな僕の気遣いなどまるっきり無視して、青年は慌てて僕の背中を撫でてくれた。 「お願いですから、無理しないでください。」 「ん……」 心底心配している青年の言葉に、胸を上下しながら僕は頷く。 しかし直ぐさま傍らにある青年の腕を掴むと、咳のせいで潤んだ瞳を向けた。 .
/619ページ

最初のコメントを投稿しよう!